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text by hiroshi yoshimoto
宇宙でつながる音楽 Ⅱ july 2010 文:吉本宏
アルゼンチンのアーティストは空間の広がりや奥行きにとても自覚的で、その空間に対する意識は常に開かれている。アレハンドロ・フラノフやモノ・フォンタナは、シタールやムビラ、フィールド・レコーディングを採り入れながら、音数の少ない空間に三次元的な深みを生み出し、さらに、フォルクローレの伝統的な打楽器ボンボや、近年、様々なアーティストにも用いられるようになった壷型の打楽器ウドゥやタブラなどの倍音をたっぷりと含んだパーカッションを用いることで、音に波紋のような重層的な広がりをもたせ、空間の中にさらに心地よい波動を生みだしている。
こうした空間性をもったアルゼンチン音楽には、例えばトリニダード・モンデジールの#1「Arima」の空間の広がりの中に美しく際立つピアノの音色と相性がいい。ドイツのエレクトロニカの名門Morr Musicのポピュラスの#2『Queue For Love』も空間に音を散らすセンスが冴え、マティルデ・ダヴォリの参加したヴォーカル・トラックには、イタリアのガール・ウィズ・ザ・ガンの胎動を感じることができる。そのポピュラスも大きな影響を受けたトータスの#3『TNT』は、ジョン・マッケンタイアによる緻密な空間設計が施され、「Ten-Day Interval」は、イギリスのドールボーイの「Black Sun」へと継承され、アルゼンチン音楽の空間性と鮮やかに呼応する。
トータス周辺のシカゴ勢が参加した、ドラマーのダグ・シャーリンのユニットHIMの#4「Of The Periphery」の静寂の夏夜の熱を帯びたパーカッションとホーンのループは、ボビー・ハッチャーソンの#5「Montara」のヴィヴラフォンの揺らぎへとつながり夏の追憶を呼びおこす。その微かな光を受け継ぐドン・チェリーの#6「One Dance」にたなびくバンブー・フルートとラティフ・カーンのタブラの響きは聴き手を深遠な瞑想の空間へといざない、ミシェル・ンデゲオチェロの#7「Aquarium」の気だるい歌声と神秘的なウドゥの響きは美しき鎮魂歌としての効用がある。
そして静かなエンディングに続いて挿入されるパスカル・ロジェの光を描くようなピアノによるモーリス・ラヴェルの#8「Jeux d’eau / 水の戯れ」の水面に踊る光のリフレクションは、澄み渡る空間の中に伸びやかな旋律の軌跡を残し、メルツの#9「Everybody had a hard years」へと静かに音の残響を映す。
bar buenos airesの音楽平原に流れる繊細な音、そのすべては宇宙を介して結ばれている。
#01 #02 #03

#04 #05 #06

#07 #08 #09

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text by hiroshi yoshimoto
宇宙でつながる音楽 Ⅰ2010 April
カルロス・アギーレの透き通った色彩の#01「Un Pueble de Paso」から、ジョー・クラウゼルの#02「Mother Nature」のナチュラルな音の流れがひとつに重なったとき、バー・ブエノスアイレスの目指す音楽の姿が見えてきた。
ミナスの風をなびかせるようなパーカッションから、イタリアのガール・ウイズ・ザ・ガンの光の粒子を集めたような#03「Fix The Stars」へ、さらにカルロス・アギーレの水の雫に映るピアノの残響音と、キケ・シネシの陽炎のような弦の響きからドゥルッティ・コラムのおぼろげな#04「Portrait For Frazier」へのつながりは、淡い水彩画のようにデリケートな中間色が美しく混ざりあう。
カルロス・アギーレからオーガニックな表情のジョー・クラウゼルへつながるという流れは、カルロス・アギーレから生音のラース・バートクン#05「Been Here Before」へ自然につながるということと同じ文脈で語ることができるだろう。
カルロス・アギーレの描く音の世界は、まるで澄んだ水の一滴がたくさんの清らかな水を集めてやがて大きな流れとなって音楽平原に美しい河を拓くように映り、その河のほとりには様々な木々や植物が花をつけるように世界中のアーティストの音が咲き乱れる。
スウェーデンのフリーダ・イヴォネン#06やイギリスのドールボーイ#07、ドイツのマックス・リヒター#08の透き通ったピアノのトーンとNYのブルックリンのヘム#09の弦楽の彩り、時に河には雨も降りだし、テキサスのバルモレイ#10のにわか雨やスウェーデンのテストビルド!#11の長雨は風景に彩りを添える。
カルロス・アギーレの生みだす音楽に内在する自然のリズムは、室内楽的なポスト・クラシカルやフォークトロニカの音の粒子の反復と親和性が高い。そして、カルロス・アギーレも影響を受けたと語るパット・メセニー&ライル・メイズの邂逅から生まれた、ビル・エヴァンスの命日をタイトルに冠した#12「September Fifteenth」は、#13「A Day by Atmosphere Supureme」を残した亡きNujabesへの追悼曲のように聴こえてくる。
bar buenos airesの音楽平原に流れる繊細な音、そのすべては宇宙を介して結ばれている。
#01 #02 #03

Carlos Aguirre Grupo Joaquin ‘Joe’ Claussell Girl With The Gun
//Rojo //Un.chained Rhythums //Girl With The Gun
#04 #05 #06

The Drutti Column Lars Bartkuhn Frida Hyvönen
//LC //Choreograhies //Pudel
#07 #08 #09

dollboy Max Richter Hem
//Casual Nudism //24 Postcards In Full Colour //Rabbit Song
#10 #11 #12

Balmorhea Testbild! nujabes
//River Arms //Aquatint //Metaphorical Music
#13
Pat Metheny & Lyle Mays
//As Falls Wichita,So Falls Wichita Falls
