carlos aguirre interview
24th feburary 2010 @ buenos aires
interviewed by hiroshi kono
河野洋志
:あなたの音楽を聴くとアルゼンチンの美しい自然、大地や河や空、風などを思い浮かべます。音楽のモティーフはどのようなところから生まれるのですか。
カルロス・アギーレ
:私はエントレ・リオス州のパラナという街の河のそばに住んでいます。河の近くに住むことは私の長年の夢でした。パラナは私の音楽に大きな影響を与えています。
パラナ河は私のインスピレイションの源になっています。しかし、いまパラナ河は私の心配事のひとつでもあります。森林の伐採が進み、魚が減っているのです。ただ私はそのようなことを歌詞で歌うことはしません。私は芸術家であって政治家ではないのです。ただ音楽だけで伝えたいと思っています。私の仕事は“美しさ”を探求することなのです。
河野
:カルロス・アギーレ・グルーポはどのようにして集めたのですか。まるであなたがひとりで演奏しているように音には一体感があります。
カルロス
:基本的にメンバーは私と同じ考え方をもっている人を集めています。ギタリストはそのつど代えていますが、ベースのフェルナンド・シルヴァは11年も前から一緒に活動していて、もはや“兄弟”とも言える存在です。アレンジに関しては、まずリハーサルでグルーポのメンバーの意見を聞きながら私がまとめていきます。みんなと対話しながら一緒に表現していきたいのです。いい結果にたどり着くにはやはりリハーサルが大切です。リハーサルを重ねることで色々なアイディアも出てきますし、グルーポの一体感も生まれてくるのです。アレンジを考えるとき、私はメンバーの最良の部分が引き出せるように常に心がけています。
河野
:あなたはアルゼンチン以外ではどのような音楽に影響を受けましたか。またアルゼンチンではどのような音楽に興味をもたれていますか。
カルロス
:キース・ジャレット#01、パット・メセニー&ライル・メイズ#02、エグベルト・ジスモンチです。アルゼンチンで関心があるのは、モノ・フォンタナです。彼はウーゴ・ファットルーソの曲をすべて知っています。彼は常に一歩先をいっています。また古いフォルクローレでは、アタウアルパ・ユパンキ、クチ・レギサモン、チャチョ・ヌニェスなどを尊敬しています。
#01
Keith Jarrett
//The Köln Concert
#02
Pat Metheny& Lyle Mays
//As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls
#03
Egberto Gismonti
//Alma
河野
:次のアルバムのリリース予定はいかがですか。またどのような内容になるのでしょうか。
カルロス
:次のアルバムはすでに録音は終っていて、現在ミキシング中です。私が曲をつくり、アルゼンチンのみならず、ラテン・アメリカのミュージシャンを招待して、ラテン・アメリカのリズムをベースにした音楽になります。モノ・フォンタナをはじめ、ウルグアイのウーゴ・ファットルーソ、ブラジルのシンガー、モニカ・サルマーゾ、チリのシンガー、フランセスカ・アンカローラ、コロンビアのサキソフォン奏者アントニオ・アルネードなどが参加します。いずれのミュージシャンもみな私の友人であり、私が直接に参加をお願いしました。
また、#04『Caminos』のようなピアノ・ソロの作品もまたレコーディングしてみたいと思っています。前回はよいピアノを探した結果、トゥクマン(アカ・セカ・トリオのフアン・キンテーロの出身地)という地方都市にある劇場で録音したのです。
#04
Carlos Aguirre
//Caminos
河野
:新しいアルバムもとても楽しみです。ところで、あなたのアルバムのアート・ワークはとても素敵ですね。
カルロス
:ありがとうございます。ジャケットは、私の知り合いの女性デザイナーが手がけています。彼女もまた私と近い感覚をもっています。ファースト・アルバム#05『Crema』の手描きのイラストレイションは彼女のアイディアによるものです。私はジャケットはアートだと思っています。セカンド・アルバムの#06『Rojo』のジャケットはこうして開いて(立方体に)組み立てると、家のようになります。これは女性の子宮をイメージしています。家の中に子宮があるイメージなのです。実は彼女がこのアート・ワークをつくったときに彼女は妊娠しました。そういうところにも不思議なつながりを感じるのです。
#05
Carlos Aguirre Grupo
//Crema
#06
Carlos Aguirre Grupo
//Rojo
河野
:CDケースに収められた枯葉には何か意味があるのですか。
カルロス
:私の住んでいるパラナでは、大豆をつくるために木を伐採しています。どんどん自然が失われていくことに対する私なりのメッセージとして、伐採された木々の葉などを入れています。以前、私のファンの方が私のメッセージを託した植物の種を植えてくれて、コンサートなどに行って何ヶ月か後に戻ってみると芽が出ていたことがあり感動しました。CDケースに木々の葉を入れいることは、私にとってはとても重要なことなのです。“音楽は人と人との出会いの可能性を広げるもの”だと思います。
河野
:東京では“bar buenos aires”という、あなたの音楽を中心に選曲するパーティーを開いています。これがそのフライヤーです。あなたの音楽が好きな日本のみなさんにメッセージをいただけますか。
カルロス
:ほんとうにこんなにも遠い国で私の音楽を聴いてくださってとても感謝しています。ぜひともみなさんにお会いしたいです。
インタヴュー:河野洋志 構成:吉本宏 山本勇樹
